優しい獣・Ⅳ[全完]

異様なほど、心臓が大きく弾んでいた。

なんだかよくわからないけど、喉が渇いたような気がして部屋から出て、青竜の間の冷蔵庫を開くけど。


「・・・ない」


やっぱり外国産のビールしか入っていないそれは、私の喉を潤してくれない。
仕方が無いから水道水を飲んだけど、喉の渇きは癒えなくて。


「え?」


やっぱり意味がわからない。


ふと視線を庭に映すと数台の車が止まっていた。
一目で高級だとわかるそれにスーツ姿の男の人が群がっていて、その中に正装した未来も混じっている。


派手な髪色をしているのは未来だけ。
真っ黒な中に輝く金髪は、本当に眩しい。


からかわれる様に大人にぐりぐり頭を掻き乱されて、眉を潜めながら怒ってる姿は『為虎添翼』の中に居る時よりも随分幼く見えて。

可愛がられてるなぁと、愛おしさがこみ上げてくるのに。


その背後に控えた本郷さんを見た瞬間、ドンっと心に鉛を落とされた。

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