Songs -episode 1-

別れ道

私はさっきからずっと見上げてる。


私の進むべき道を見失って途方に暮れている。
もう何日も。


もうどちらかに進まないといけなくなってしまった。

私の気持ちとは裏腹に、日々絶え間なく時間は進み続けるから。



遅かれ早かれいつかは決断しないといけない。



だけど、最大限ギリギリまで私はこうやって咲人の部屋を見つめて逃げ切れる方法を探している。



あの日からずっと頭に浮かぶ顔は貴宏で、今、無性に会いたいと思っている人も貴宏なのに。


欲張りで愛されたがり屋の私はそれでも尚、咲人の手を離さなくてもいい方法を考え続けてる。


貴宏とのあのたった一晩の過ちの様な出来事は、咲人に溺れかけていた私を一瞬で惹き付けた。




あれ以来1週間、貴宏とあれ以上何かあった訳でもないし、私が今貴宏の所へ行ったって受け止めてくれる保証もない。

確かにあの時、私の事を『もっと知りたい』とは言ったけど「好きだ」と言われた訳じゃない。



だけどどうしても貴宏の顔が頭から離れない。

離れてくれない。



なのに、あんなに私の事を必要としてくれている咲人の手を放そうとしない私は本当に卑怯だ。

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