背徳の新撰組

第二章

それから、桜子は新撰組の専属医師として、見習いながらも診療に明け暮れる毎日を送っていた。

山南が言っていたように、体調を崩している患者の数が多く、ほとんどが寝たきりの状態であった。

そして、沖田も何をするわけでもなく、桜子の傍にずっといて、患者を見終わるまで付き合ってくれていた。

幸いながらも、新撰組幹部のお気に入り?に手を出す者はおらず、患者達も変な考えを起こすことなく、桜子の診療を受けていた。

だが、あれから二人の関係は微妙なままだった。

この日も、いつものように診療が終わると、沖田に部屋まで送ってもらっていた。

「……今日もありがとうございました。明日またお願いします」

決まっている台詞をいつものように言う。

「うん……」

「…………」

桜子は沖田に軽く会釈をすると、部屋の障子を閉めた。

沖田も黙って部屋の前から立ち去って行く。

その足音を聞きながら、ため息をつく。

いつものことながら、どうすることも出来ず、月日ばかりが過ぎていく。

「はぁー……」

慣れない仕事の上に、この妙な関係………。

(私、ちゃんと医師になれるのかな……)

そんなモヤモヤが桜子の中で渦を巻いていた。

(ダメダメ……!こんなことで挫けちゃ!しっかりしないと……!)

挫けたい気持ちに渇を入れ直すと、桜子は本日の診療の記録を書き始めた。

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