歌舞伎町の女王

序盤 /リエナside


紅色のカーペット、金に光るシャンデリアにまで届きそうなくらいのシャンパンタワー。




「今日は特別にもう10本追加しようか。」




私の耳元でそう囁くように言う中年男性の瞳は重なるグラス達に注がれる液体に向いていた。




それを聞いて私は身体ごと男性の方へ向き、その顔に笑みを浮かばせた。




「そんなに追加したら、私の酔いがおさまりませんわ。ただでさえ、勝木様に酔っているのに。」



私は笑みを向けながらも、瞳は潤み男性だけを見つめた。



「また上手いこと言うな、リエナちゃんは。よし、20本追加だ。」



男性は私に笑みを向けると、近くにいたボーイにオーダーをする。



「ありがとうございます、勝木様。」



私はゆっくりとした動作で手元にあるグラスを男性の前へと置いた。



「これは、私からのほんの気持ちです。」




水割りの金色の液体の入ったグラスの下にある一枚の紙切れ。



男性はそれに手を伸ばし、折りたたまれた紙の中の文字に目を通した。



「ありがとう、リエナちゃん。有難くいただいておくよ。」




そう微笑む男性はその紙を胸ポケットに入れると、私の手にその手を伸ばし、関節をゆっくりとなぞった。



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