歌舞伎町の女王

中盤 /リエナside





「だから、私は勝木様を殺してはいません。」




自分の働く店から少し歩いたところの路地裏で、私は目の前の池田様を睨みつけていた。




「威勢だけはいいね。さすがあの店のNO.1だ。キャバクラにいるのが惜しいくらいだよ。」




池田様は私の身体を舐めるように見て、その口元を歪めている。




「けどね、君は勝木さんを殺したんだ。それは変わりようのない事実だよ。」




気持ちの悪い笑みを浮かばせて、私にその顔を近づける池田様は勝木様と歳はあまり変わらないはずなのに、何もかもに下品が滲みでていて、自然と私の身体は鳥肌が立った。




「それなら、証拠があるはずでしょう?」




「君はあの夜、勝木さんが部下に見張りをつけていたのに気づかなかったのかい?」




私は目を見開いた。




部下....?なんで、勝木様があの夜部下を見張りにつける必要があったの?





「その部下が君と勝木さんがホテルに入っていくところを見ているんだよ。その後、君が青ざめた表情で出てきたところもね。」





「ッ.....」





確かに勝木様が亡くなった後、私はどうすることもできずにそのままホテルから出て、帰ってしまった。その時の私はとても警察に通報できるほどの精神的余裕はなかった。




あの状況で通報すれば、私が殺したと判断されるのは目に見えていたし、そうなれば、私の今までの苦労は水の泡だ。だから、ただ何事もなかったかのようにホテルを出るしかなかった。





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