Freedom -first- 【完】

First /続・呪い


走るとくらくらする。


7月、朝っぱらからすでに気温は高い。

結局昨日夏樹さんの呪縛に、よく眠れなかった。

遅刻寸前10分前。

鬼がニヤッと笑いながら、5千円を掠めてく様子が目に浮かぶ。

走れ、私っ!!!

勢い良く割烹屋の扉を開け、タイムカードまで一直線。


「あと1分」


「……え?」


ニヤッと笑う……、

鬼がいたっ!?


な、なんで???

「なんで夏樹さんいるんですか!?」

「いちゃ、悪ぃかよ。俺の店だ」

そ、そうなんだけど。

昼間来たことないじゃん!

私がバイト始めて、1ヶ月経っても逢わなかったくらいだし!?

「こっちの方に用事あったからな。ついでにお前の遅刻を確認しに寄ったんだ。はい、アウト!」

「えっ!?」

タイムカードの時計が、出勤時刻より1分越えていた。

「罰金5千円♪」

「ちょ、店入って来たとき間に合ってたじゃないですかっ!?夏樹さんが話しかけるからっ!ち、遅刻じゃないですっ!絶対、遅刻じゃないっ!!!」

「……どんだけ必死なんだよお前」

5千円持ってかれてたまるかっ!

「だって!」

「5千円が嫌なら、身体で払え♪」

はっ!?

私の身体=5千円相当!?

「どっちも嫌!!!」

「身体にしとけ。ほら、さっさとその身体使って働きやがれ!」

身体って……、

そういう意味か。

「着替えてきますっ!!!」

おもいっきり夏樹さんを睨んで更衣室に向かう。

途中の厨房で、源さんと時田さんに挨拶をする。

「おー、亜美ちゃん!今日も元気いいなぁ?」

元気?

昨日は散々だったんだけどね?

あれ……?

もしかして……夏樹さん、

心配して私の様子見に来てくれたとか?


まさかね?




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