Freedom -first- 【完】


おばちゃん達3人に加え、板前さんが2人。

板前のおじちゃん達は私を見るなり、

「べっぴんさんが来たなぁ?」

「いやぁ、こら仕事に精も出る」

と、かなりチヤホヤしてくれた。

あぁ、まぁね?

60代のおばちゃんに比べりゃ、そうだろ。

で、おばちゃん達は意外にも皆優しい。

「亜美ちゃん、お饅頭食べる?」

お茶の葉を確認したり、洗い場から出て来た湯のみを片してした私に声を掛けるおばちゃん。

「あ、はい!これ片付けたら、頂きます」

「そんなに一生懸命働かなくてもいいわよぉ?ゆっくりね、ゆっくり」

「……はい」

もうすぐ開店だというのに、全く動かないおばちゃん達。

テーブル席が10席。

フロントからは見えない、奥座敷が4つ。

そんな広いお店じゃない。

なのに、毎日おばちゃん3人で働いているんだろうか?

「ここのお店、忙しいんですか?」

「忙しい日もあれば、暇な日もあるわねぇ。夜は結構込むのよ?」

「亜美ちゃん、夜働けないの?」

……夜?

無理。

普段はアンデルセンの方に行ってるし、日曜日の夜は唯一の休み。

これ以上働いたら、本当に彼氏とも終りだと分かっていた。

「平日のお昼は学校で、夜は違うお店で働いてるので」

「あぁそうよね?ママのお店でしょ?」

ほっとした。

なんだ、知ってるんじゃん!


「こっちで働けばいいのに」


ん?


そのおばちゃんの呟き……。


ママの「人手が足りない」といった理由。


私は1万円に釣られたアホだったと、判明すんのがこのすぐあと。


0
  • しおりをはさむ
  • 989
  • 1278
/ 371ページ
このページを編集する