Freedom -first- 【完】



「私が全ぶ支払う!この家私が維持するっ」




かなりお母さんと揉めた思い出がある。

家族会議で、泣きながら喚いたような気もする。

最初は意地だった。

絶対、松ノ木の下からお嫁に行くまでは、おばぁちゃんの家を誰にも触らせないと。

兎に角、おばぁちゃんと私の思い出を誰にも壊されたくなかった。

たとえそれが、おばぁちゃんの実の娘である私のお母さんだとしても。

私のあまりに勝手な強情っぷりに、最後はお母さんも呆れ、怒り、ブチ切れた。

「一切、援助はしないから。したいなら勝手にしなさいっ」と。


そして――、

”おばぁちゃんの家”で、私の1人暮らしが始まったはいいが、

同時に、私は大学を続けながら割のいいアルバイトをしなければならなくなった。



お母さんが宣言通り、学費以外の全ての援助を打ち切るという鬼判断を下したのだ。


アルバイト雑誌を片っ端から見て、兎に角時給のいいバイトを探す。

なにしろ援助が無い。


時給4500円が目に付いた。


学歴、特技を全てを記入した真面目な履歴書を書き上げ、電話でお店に面接のアポイントを取った。

翌日お店に行くと、中にいた女性は私の履歴書を見てくすくす笑う。

なんで?

「経験は?」

「……有りません」

「お客さん持ってないならヘルプからになるけど?」

「……ヘルプ?」

私が面接を受けたお店。

クラブ。

私はキャバクラとクラブの違いさえ分かっていなかった。

「頑張りなさい」

「はい!」

どうやら面接に受かったらしい。


19歳、大学1年の春休み。


私の水商売人生が(勢いで)始まってしまった。

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