Freedom -first- 【完】

First /有り得ない事実


夏樹さんは1杯バーボンソーダ割りを飲んだだけ。

リシャとルイは封さえ開けられていない。

ワガママボンボンの考えていることは、やっぱ私には分からなかった。


ロッカールームの扉を開けると――、

「亜美ちゃん、黒崎さんと知り合いなの!?」

……黒崎?

あぁ、夏樹さんのことか。

皆知ってたんだ?

まだ着替えをしていたホステス全員が、私に注目していた。

そら、ママの息子に指名されてVIPルームだもんなぁ……。

き、気まずい。

生意気!とか、虐められそうだし。

な、何て言えばいんだろ?

なんとなく、割烹料理屋で働いていることは黙っておいたほうがいいような気がした。

「いいなぁ?今度私も席に呼んでよ」

「え?」

それは売り上げホステスの、美綺さんだった。

私が、美綺さんを席に呼ぶ!?

「お願い!」

「えー、私達も呼んでよ!」

皆、なんで夏樹さんなんか?

あぁ、一応格好いいか?

見た目だけなのに?

「今日、一緒に来てたの龍黒会の幹部の人達だよねぇ?凄いね、亜美ちゃん。ちょっとびっくりした」


……りゅうこく……かい?


何それ???


今日、夏樹さんと来てたのは会社の社員だけど?

ぽかんとする私。


「亜美ちゃん……」

着替え終わった麗奈さんも居た。

や、やばい。

私、途中でヘルプ抜けてしまったんだ!

「麗奈さん、お疲れ様ですっ。すみませんでしたヘルプ中途半端でっ」

明日からの食いぶち。

頭を下げる。

「いいよ、そんなの!何か、ごめんね……?ずっとヘルプとかさせて」


え?

な……に……?

女王様が使用人に謝った!?

「あ、あの、明日からも麗奈さんのヘルプ宜しくお願いします!」

「……龍黒会の指名取れるなら、売り上げホステスに変わるんでしょ?」

りゅうこくかい。

だから、それって……何?


てか、売り上げホステス?

私が?

まさか!


「いえ、ヘルプですよ?」


皆の意外な目線が私に集まっていた。


本当、何なんだ?


私、変なこと言ってるのか?



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