Freedom -third- 【完】

Freedom -third- /大雑把な一般人と、繊細な鬼



救急病院だからか、裏口には運良く空車のタクシーが停っていた。


「ほら、乗れ」


「あ、はい……」


後部座席に乗り込み、夏樹さんが運転手さんに告げた場所はアンデルセン近くの商店街。


「…………」


「…………」


さっきまで普通に話していたのに、会話が途切れた。

沈黙する空気が気まずい。

横に座る夏樹さんを意識しながら、タクシーの窓から見えるビルのネオン郡を何気なく見詰める。


あの夜と同じ、


犇めくネオンはキラキラと眩しい光を放つ――。


「あのよー……」


先に口を開いたのは夏樹さんだった。


「…………?」


少し首を傾けると、夏樹さんの横顔が目に入る。


「――…俺はお前をフッたとかそんなじゃねぇ」


ボソッと呟いた低い声に、私は身体ごと夏樹さんに振り返った。

さっきもそう言われて、動揺したけど。

にしても、フッたわけじゃないって!

じゃぁあの夜はなんだったんだ!?


あ……。


そうか……。




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