Freedom -third- 【完】



庭師さんに支払いの目処が立ったというのに気持ちはスッキリしないまま、私はアンデルセンを出てから、ずっと携帯を握り締ている――…。


夏樹さんにお礼の電話をかけるか戸惑っていた。


”ありがとうございます”


…――でも、お礼を言ったそのあとの会話が思いつかない。


今更――、

私からお礼なんか言われても夏樹さんにとっては面倒くさいだけだろう。


やっぱり電話するのは止めた。



紫さんとの待ち合わせ場所に向かうため、タクシーに乗る。

アンデルセンのある繁華街に比べ、紫さんの働く街は同じような繁華街でも、年齢層が若い。

電車でも数駅しか離れていないのに、雰囲気がガラッと変わる。

私も高校生の頃から馴染み深い街だった。


――…放課後は毎日のように、クラスの友達と寄り道してた。

健太や直也も部活が終わると、決まって合流して……。

なのに大学生にもなると、あんなに仲良かった高校の皆と集まる機会も減ってきた。

環境が異なれば、想いもすれ違ってくるのかもしれない。


失恋の寂しさからか、

同じ時間を共有して、バカ騒ぎしながらいつも笑ってた頃が無性に恋しいと思った。





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