Freedom -fourth- 【完】



マンションのエントランス――…。


住人らしき若い女の子が中から出て来た。

シャワーを浴びたのか、セミロングの髪がまだ濡れていた。

エントランスの入口が開いたので、直也を待たずにそのまま中に入ろうとした瞬間、

ふと、その女の子と視線が交差した――…、

睨まれたような気がしたのは気のせいだろうか?

何故か違和感を感じたけど、でも、別段深く気にすることはなかった。


直也から電話が掛かって来たときには、もうエレベーターに乗る直前で、


『アキ、待たせて悪い。開けた』


「あ、うん。今、中から開いたから入ったよ?」


『――…え……、あ、マジ?誰か……出て来た?』


「エレベーターの中だから、ちょっと電波悪い。待って」


誰か出て来た――?


そこはハッキリと聴こえた。


出て来たのは、女の子。


髪が濡れていた。


直也はいつも勝手に入って来いというのに、今日初めて外で待たされた。



――…違和感。



それでも私はまだ何も気付いていなかったし、疑うこともしなかった。



根っからの、能天気なんだろう。





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