Freedom -sixth-【完】




「…――私はね?もう30歳目の前で、吹っ切れてる。悩んだのは、丁度亜美ちゃんと同じ歳くらいのとき……22、3歳の頃だったから。でも――亜美ちゃんはまだ選べると思うの」


「…………」



もしかしたら、私のために話してくれた……?



紫さんは天然だから、夏樹の無法者っぷりも、どんな人間でも受け止めることが出来る人なのだと思ってた。


それは、違うのだとやっと理解した。


人の痛みや辛さ、苦しさ、悲しさを全てありのまま笑顔で受け入れるのは、自分が乗り越えて来た人だからだ……。



「私は……」


必死で涙を堪えていた。


「ごめんね?亜美ちゃんを悩まそうと思って言ったわけじゃないんだよ?」


うん。


分かってる。


紫さんは、優しい。


凄く、凄く、優しい。



「何があっても後悔しないって決めてます。夏樹が将来、どんな形を選んでも一緒に居たいって……。そのとき、私は夏樹と一緒にいるならやっぱり笑ってると思うから」



「うん。私もどんな亜美ちゃんでもずっと友達だから」



我慢してた涙が溢れた。



「紫さんと出会えて良かったって、思います」


「えー、ありがとー……」


照れる紫さんが可愛かった。


そして、改めて紫さんのような人の心を受け止められるホステスとなれるように、

夏樹にとっては何があっても笑顔でい続ける彼女でありたいと思えた。





――バリ島から帰って来たのは、6月末。



あと数日で7月になろうとしていた。


帰国した夜に、山ちゃんから電話が掛かってきた。




出口さんの売り掛けが未だ支払いされていないと――…。










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