Freedom -sixth-【完】

Sixth /水商売



7月中旬――、常連の出口さんを失ったことが原因ではなく、私の気分から売り上げは落ちていた。


紫さんが何度も食事に誘ってくれ、励ましてくれる。


こんな状態では、本当にこの先この仕事を続けて行くのは無理だと自分に言い聞かせ、頑張ろうと思っていた矢先――…、



雪さんが働く、あのclub桜が閉店したとの報告を山ちゃんから受けた。



桜のママが亡くなったと。



死因は――…、自殺。




Friendsのスタッフ一同に衝撃が走り、騒然と噂話が後を絶たない店内。


報告を受けたその日の夜、仕事終わりに紫さんや彩太とも、色々話したと思うが、私の記憶は飛んでいる。


ただ私は、おばぁちゃんやクマちゃん、翔が亡くなったときとはまた違う別のショックを受けたことを、今でも鮮明に思い出す。


茫然としたまま、タクシーを降りて帰宅した。



「ただいま……」


「おー」


「ちょっと疲れたから……、1人ゆっくりお風呂入りたい」


「あぁ?」



…――桜が経営難に苦しんでいたこと。


従業員の支払いも滞っていたこと。


キャストの女の子達がお客さんを引き抜いて、店を去っていたこと。


雪さんは、最後までお店に残ったこと――…。



私はそんな事情も何も知らずに……、


生意気な啖呵を切ったことで、ママのプライドを深く傷付けたはず。



きっと桜のママは、私の言葉を胸に残したまま――、



自ら命を絶った……。








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