Freedom -final-




今の私だから……、


留美子ちゃんのこともあっさり受け入れられるのかもしれない。


…――対人恐怖症だった夏樹のお母さんのこと、夏樹自身の不安定な精神バランス、割烹屋のおばちゃんの睡眠薬過剰摂取、健太の人間不信と恋愛音痴、紫さんが多くは語らない過去のトラウマ、チャーリーの自殺未遂……、私自身も経験している摂食障害、睡眠障害、自律神経失調症含め――…、


何か困難を抱えるのは特定の人に限るわけではない。


極少数派ではないということ。


あるある。


なのだ。



そして、香菜ちゃんの女王様イメージが少し崩れ始めた。


「香菜ちゃんって、めちゃくちゃ面倒見良いよね?」


「何が?」


尚哉君を家に住まわせていることを含め……、


「だって留美子ちゃんの気持ちとか先回りして考えて?今気付いたけど、ずっと傷付かないようにフォローしてるよね?」


見た目も口調もかなり、かなり、かなりっ!!!女王様だけど……。


実際中身は他人の気持ちに気付くことに敏感で、凄く優しい人だ。


と、思う。


「あいつがバカだから?」


・・・・・・・・・・・。


ぶっきらぼうでツンデレ気味なとこは……。


「……香菜ちゃん、よく誤解されるでしょ?」


「……別に?そのままだけど?」


いや、絶対違う。


「冷たい人とか、怖い人って言われたことない?」


「どうでもいい。気にしたことない」


・・・・・・・・・・・。


ったく……。


「本当は真逆な性格してんのにね?」


「…………」


「ね?」


図星だったのか、一瞬閉口した香菜ちゃんを見て、私はニッと笑ってやった。



「……アキ、あんた生意気」




――この時の会話をきっかけに私と香菜ちゃん、留美子ちゃんの友情が少しずつ芽生え始めた。


出会いなんてもんは突然で偶然。


その一瞬の出会いに勇気を持って自分が一歩踏み込めば、突然が新たな関係を生み、偶然はいつしか必然へと変わることを私は遠の昔に、もう知っていたはず。


沢山の人と出会い、助けられ、支えられ、励まされ――…、幸せを与えて貰って生きて来たのに……。


この1年、私は人目を避け、心を隠し、過去から、現実から、――新たな人間関係を拒み、全てから逃げ続けて来た。


でも尚哉君、香菜ちゃん、留美子ちゃんとの出会いが、私の忘れていた大事なものを少しずつ思い出させてくれた――…。


人生。


落ち込むとこと、


心を閉ざすこと、


笑えなくなること、


食べれなくなること、


眠れなくなること、


人間関係がうまくいかなくなること、


自分の思うように生きれないこと、


沢山、沢山、沢山、苦難も困難も悲しいことも――…、


あるある。



それでもまた……、


前向きになれること、


心を開けること、


笑えること、


食べれること、


眠れること、


人間関係を築けるようになること、


自分の理想に少し近付く目的を持つこと、



必ず。



あるある。







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