仮面の下の素顔 【完】

two /呪い













「…もしもし?」

『あーやぎ?』

「…なんだよ」

『あれ?いつもは「やぎじゃねえ、凪だ」とか言ってるのにどった?』

「別になんもないけど」

『あそ。 で、待ってんだけど、早く来いよ』


電話越しのソイツはどうでも良さそうにそう言い、クチャクチャガムを噛みながら話すので汚い。


「汚ない」

思わずそう口に出せば、


『お口をリフレーッシュ、なんつって。 悪ぃ悪い』


どこかのCMの台詞を言ってまたもやクチャクチャガムを噛みながら、


『早く来いよ。 琲里が待ってる』

「…わかった」


いきなり真剣なトーンで喋るから俺も身を構えた。



ああ、面倒臭い。


"琲里"その名前を聞いただけでも身体が強く強ばって情けないほど俺は弱かった。

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