棘のある果実

第一章 /家族






「じゃあ、またね。つーちゃん」

「……ああ、お仕事頑張ってねっ、いってらっしゃい」

「ふふ、なんだか俺とつーちゃん新婚さんみたいだね」

「っ」


そう言ってあたしに顔を近づけてちゅっ、と頬に口付けをした聖くんは「いってきます」満足気に微笑んで会社へ行く。



スタイルのいい身体はとてもシーツは似合っているし普段と比べると一段と大人びた聖くんにあたしは胸がドキドキ。


……それに。


何故か聖くんはあたしに家に帰ってもいいと言うんだ。


「つーちゃんはお家に帰りたい?」

「う、ん」

「じゃあ帰ってもいいよ」




いつもの様子でそう告げるんだから拍子抜け。「えっ」って思わず口から零れそうになったし、いや零したよ。


閉じ込めたいとかられたいとかそうは思わないけど、なんだか腑に落ちないというかモヤモヤした。



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