道化、されど演者。

作者百鬼目

天才子役と呼ばれたのはもう10年前のこと。車椅子人間になった自分が再びあの舞台に立つことは無い、そう思ってたのに…。不思議な映画館で起こる、奇跡とサバイバル!










天才子役、そう言われたのはもう10年前の話。


歩くこともままならない車椅子人間となった私が、あの舞台へ再び立つことは無い。





……そう、思っていた。










ああ、駄目。

あの役者も、あの子も全然下手くそ。


私の方が上手く演じられる、なのにどうして?


舞台に立ちたい、演じたい。

演じたい、








「……私、死んでしまいそうだ」








映画を見てた、車椅子に乗りながら。


客席とは離れた場所で。


いつも、いつも、いつも、いつも、見てた。









dive in the film








見てるだけじゃ、終われない。


私はきっと道化だろう、だけど演者だから。