地味子ちゃんと恋がしたい―そんなに可愛いなんて気付かなかった!

「そうかな、どう作るのかも分からないし」

「これじゃ望み薄ですね」

「いつもこの調子」

「野坂さんは誰か気になる人はいないの?」

「どうもあなたを含めて同年代の人は頼りなく見えて惹かれないのよ」

「悪かったね、頼りなくて」

「年上の人はどうなの?」

「大体が妻子持ちで、変に思い詰めると不倫になっちゃうわ」

「うーん、どうしようもないね」

「今は仕事を大事にしているけど、本当に10年後はどうなっているのやら、不安はあるわ」

「そうだね、お互いにそろそろ身を固める年に来ているからね」

「お二人とも深刻な話をしていらっしゃるのね。人生、思いっきりが必要な時もありますよ」

「ママはそういう時があったのですか」

「何回かはありましたけど」

「どうしました?」

「思い切ったらなんとかなりました」

「そういうものなのかね?」

「勇気をもって思い切ることですよ、周りのことや世間体なんか気にしないで」

「そうだね、いい助言だ、ママが言うと説得力がある。いい話を聞かせてもらった、じゃあ引き上げるか?」

「私は残る。ママともう少しお話がしたいから」

ママは少し困ったような顔を見せた。これじゃ、戻ってこられない。

「じゃあ、ママ、お会計をお願いします」

「また、きっと来てくださいね」

「ああ、きっと」

店を出た。あの後二人は何を話したのだろうか、気にかかる。それに残してきた居酒屋の二人も気にかかる。

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