Distortion

歪な世界 /憎めない受付男。

________ザアザア、というさっきからあたしの耳を劈くのは大粒の雨。

窓に手をつけば夏だと言うのにひんやりと冷たさが伝わってきて、部屋の蒸し暑さにその窓に顔をベッタリと付けたくなる衝動に駆られた、がそこは抑える。

窓には点々と大きな雫が這い蹲っていてまるであたしのようだと滑稽にも思えた。

最近は晴天だったからか薄黒い空に眉根に少しだけ皺を寄せたあたしが窓にぼんやりと映っていた。

そんな中、


「志堂琉架が直々にお前に協力するなんて、有り得ねえ。考えられねえ……。」


もう一つの雑音もあたしの鼓膜を貫いた。

ブツブツとさっきから呟いている純は事の成り行きを話したあたしに驚きで硬直していたのかぼーっと玄関に突っ立っていたがすぐに我に返り、この有様。

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