隣の席の室井くん②【完】

5.煙草の匂いと香水と




* * *




のんちゃんと別れ、喫茶店から出た時には外はすっかり真っ暗だった。


キンと冷えた空気に思わず体を縮み上げる。



・・・日吉さん、ちゃんと帰れたかなぁ。



ふと、日吉さんの顔が浮かぶ。



日吉さんは明るくて元気なのはいいんだけど

少しだけ、自覚がなくて困る。



「アタシなんかを女の子扱いしてくれるのなんて室井くんくらいだよ~」



なんて、あははって笑うけど


そんな日吉さんが心配で仕方がない。



もう少し自覚を持って欲しい、なんて思ったりもする。




「とりあえず、相沢たちとも話して決めろ。いい返事待ってるよ」




別れ際、新しくなった携帯番号をようやく交換して


のんちゃんはそう言って
暗い街に消えて行った。



・・・話し合うって言ったって、亮介なんかに言ったら飛び付くに決まってる。



きっとヒャヒャヒャ言いながら
喜んで承諾するに違いない。



はぁ、とついた溜め息が

白く象って宙に消えて行った。




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