隣の席の室井くん②【完】




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オレンジ色の外観の
やたら威圧感のあるマンションの前に着くと


無意識のうちにまた
溜め息が漏れた。



高校生が一人で住むには
大きすぎるマンション。



もちろん、自分で選んだわけじゃない。


俺が¨あの家¨から出ると決めた時、あの人が勝手に用意したマンションだ。


毎月振り込まれる莫大な金額には必要最低限以外は手をつけず

あとはバイト代でやりくりしてるとはいえ

あの人が所有しているマンションにこうして住んで
その庇護の元で生活してる以上


きっと俺は常に
¨あの人¨に見られているんだと思う。


それにも慣れたし

どこか感覚が麻痺し始めていた自分がいる。


昔ほど、あの人とに対して
黒い感情があるわけでもない。


けど。



日吉さんのお家みたいな
普通の家族や生活を目の当たりにすると


¨俺¨と¨あの人¨は
やっぱりどこか

¨普通¨じゃないんだな


と、思う。




マンション入り口の
オートロックをボタンで開け


機械的な音を発するドアをすり抜ければ



外よりもひんやりとした空気が、頬を撫でた。



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