隣の席の室井くん②【完】

8.室井氏の暴走in日吉家




* * *





「室井くん」


「はい」


「君は、魚は好きかい?」


「・・・魚・・・ですか?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「釣るのと、食べるのどっちが好きだい?」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「・・・観るの・・・ですかね?」



半疑問形で答えた室井くんが、こくんと小首を傾げたこの瞬間、アタシは思った。



「あっはっはっ!!や~ね!!二人ともなんて会話をしてるのよ!!」



アタシの思考を代弁するかのように盛大に笑いながら母さんが台所からお皿を手にして顔を出す。




「そうかぁ、室井くんは鑑賞派かぁ」


「食べるのも好きです」


「そうか~」




だから、なんだその会話は





ーーーリビングのテーブルに座り、変な汗をかきながら目の前と右隣りに交互に視線を送るアタシ。



「お父さんは釣る派ですか?」



相変わらず、呑気なのほほんトーンな右隣りの彼。



「いや、釣りはしたことないなぁ」



なら何故選択肢に入れたんだこのオッサンは。



そんなツッコミを飲み込んだ変わりに、薄目で視線を送る先、正面に座るのは


初登場

日吉家、父。



「そんなしょうもない話してないで、ほらほら食べるわよ~」



テーブルに晩御飯を並べ、あっはっは~と笑いその隣にドカリと座るのは相変わらずいつでも全開な母。



「はい!!いただきま~す!!」



母さんの掛け声で




「い、いただきます」




アタシたちは揃って手を合わせた。




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