隣の席の室井くん②【完】





ーーーステージ袖。



さっきよりも近い場所で
キンストが演奏をしている。


さっきとは違う位置から
観客の顔が見える。




眼鏡を外す、この瞬間。




俺は¨ショウ¨になる。




¨室井翔¨としてじゃなく

¨ショウ¨として


ステージに立つ。




それが、例え


¨あの人¨のやっていることと同じだとしても



俺には歌がある。


音楽がある。




それを


¨知りたい¨と


¨好きだ¨と



そう言ってくれる人がいる。



目を閉じれば君が浮かぶ。


こんな俺に


一生懸命言葉を向けてくれる君がいる。




例え、
今日この場に居なくても



それでも、君に届けと



そう願う。




わあぁぁぁぁぁ!!!!




沸き上がる拍手と歓声の中


ステージ袖から、その先にいるのんちゃんが見える。


視線が合ったその時に


のんちゃんが
俺に向かって手を伸ばす。



¨早く来い¨


¨此処まで、早く¨



そう言うように。




「よっしゃ!!いくぜぇ!!キンストファンに一丁俺らの音楽ブチかまして来ようじゃねぇの!!!!」




そんな亮介の声を背に



ゆっくりと目を開ける。



マイクを握れ


声をあげろ


その先に何があるのか



俺は知りたい。




俺達は光り輝くステージに向かって



一歩、足を踏み出した。






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