隣の席の室井くん②【完】

15.聖なる夜と黒い影






* * *





ーーーぴんぽーん




オレンジ色のレンガ造りの高級マンション。


綺麗なエントランスはいつ来ても清潔感が漂い


なんとも緊張感が増していく。


エレベーターで室井くんの部屋のある階まで上がる間もアタシの心臓はドキドキと音を立てていた。


玄関の前でインターホンを鳴らし緊張しながら立ちすくんでいると



ガチャリ、



と鍵の開く音と共に開いたドアの隙間から



「いらっしゃい」



と、にこやかな室井くんが顔を出した。




「ど、どーも!!こんにちは!!」



「こんにちは」



思わず頭をペコリと下げたアタシに、室井くんも頭を下げる。



・・・なんだこの今更な
他人行儀な挨拶。



ゆっくりと頭を上げれば、


「・・・・・・・・・」



アタシより先に顔を上げた室井くんが、無言のままアタシをじっと見つめている。



「む、室井くん?」



中途半端に頭を上げた中腰の格好のまま、上目遣いにそんな彼を見上げれば



「うわぁ!!」



いきなりグイッと腕を引かれギュウっと抱きしめられた。



「ななな、なんですか!!」


アワアワしながら腕の中であわてふためくアタシの耳元で



「日吉さん、かわいー」



と、更にギュウっと抱きしめられた。



「わわわ、わかったから!!とりあえずドアを閉めよう!!中に入ろう!!」



こんなとこ誰かに見られでもしたら死ねる!!


抱きしめられた格好のままグイグイとそんな彼を部屋の中へと押しやった。




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