隣の席の室井くん②【完】




「まぁなんにせよ、キンストが観に来るんじゃ恥ずかしいライブは出来ないな」



やなぎんが俺に視線を向ける。


「成長したお前の歌、望くん達に見せてやらないとな」



・・・成長した・・・って・・・

そんな大袈裟な・・・。



「そうそう!!望くんも言ってたぜ!!?翔の歌良くなったってよ~」


「・・・・・・」


「なんつったって飛翔!!翔くん☆だもんなぁ!!ヒャヒャヒャ!!」


「・・・いつまで言ってんのそれ



・・・亮介のテンションに
何年経っても俺はついていけない。



「まぁよ~、今キンストもノリにノッてるみてぇだけど俺らも負けてらんねぇってことよ!!なんつったって俺らも今、ナマズ登りだかんなぁ!!!!」


「・・・亮介・・・それを言うなら、ウナギ登りだ」



ヒャヒャヒャヒャ!!!!!!



・・・本当に、疲れる。



こいつがリーダーで
本当にこのバンド大丈夫なんかな。



「キンストかぁ・・・」



ポツリと呟いた言葉が
冷たい外気に溶けて消えた。



なんだか久しぶりで
ちょっと楽しみだな。


きっと彼らも向こうで頑張ってる位だ。

前より腕を上げてるんだろう。


今なら、



昔とはまた違う風に
聴くことができるかもしれないな。



色んなことが
少しずつ、少しずつ


色を変えていく。


それが、嬉しいような

少しくすぐったいような


そんな気分を抱きながら、
俺達は、冬が近付く町の中を進んで行った。







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