隣の席の室井くん②【完】






カチカチと弄っていた携帯をダウンのポケットに入れた彼はゆっくりとアタシに近付いてくる。



銀髪を冬の冷たい空気に靡かせながら。


なんてド迫力。


まるで映画のワンシーンのようにその動きがスローモーションに見えた。


思わずジリジリと後退するアタシに真っ直ぐ視線を向けたまま長い足を進める彼は

ぴたり、と
アタシの目の前で止まった。


そして



「室井 翔を知ってる?」



その言葉に、アタシは後退していた足を止め、やたら背の高い彼を思わず見上げた。


「む、室井くん・・・ですか?」



妙な緊張感からか
喉の奥に言葉が張り付くような感覚がし、変に声が掠れる。



「・・・翔は?」



そんなアタシにお構いなしに彼はじっとアタシを見下ろしながら覗き込む。



近い近い近い!!!!!!


そして

怖い!!



ひいぃぃぃ!!と心の中で悲鳴をあげながら


「き、今日はバイトだと既に帰宅致しました!!」


ピシっと背筋を伸ばし
威勢よく答えてみる。



「バイト・・・」



チッと軽く舌打ちをし
眉間にシワを寄せるその表情にアタシは固まる。



いや、マジで誰。この人!!!



はぁ、と溜め息を吐かれ

再び頭上からチラリとアタシを見下ろすと



「じゃあ、変わりに君付き合ってくれる?」



と、ひくーーいトーンで
美形の彼は呟いた。




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