イベリスの悪魔

哀しみの悪魔

竜二がえれなを連れ去ってから数日…帰宅した母親は晃から事情を聞き絶句…息子の変わり果てた様子に、竜二に激しい怒りを覚えた。


「あの恩知らずがっ!あの子は藤山家の恥…もう息子でもなんでもないっ!!そもそもどうして生きてるのよ?!あの時の遺体はなんだったのっ?!」


当時竜二の遺体が見つかったと聞き、母親と晃は遺体の確認を行った。
ただその遺体は激しく損傷しており、特に顔はぐちゃぐちゃに潰され、見ただけで誰なのか判別するのは不可能だった。
しかしDNA鑑定の結果その遺体が竜二だと判明し、確かにあの時彼は死んだ。


「まさか…あの男竜二の偽物なんかじゃないわよね?」

「いや……あれは本物の竜二だよ、母さん」

「どうしてそう言いきれるのっ?DNA鑑定でもあの遺体は確かに竜二だって言ってたじゃないっ!?」

「僕にはわかるんだよっ!あの全てを見下したような目…あいつは竜二だ…復讐のために戻って来たんだっ!!」

「復讐って…あなたどうしちゃったのよっ?!どうしてそんなにあの子を怖がるの?何か変よ?」

「うるさいっ!あいつは僕を恨んでるんだ…このままだと本当に殺されるっ…!!」

「そんな大袈裟よぉ」

「くそっ、僕はどうしたら…あの時ちゃんと殺ったと思ったんだ…なのになんでっ!」

「あの時ちゃんと殺ったって…ねぇどういう事?」

「母さんには関係ない」

「関係ない事ないでしょっ?!ねぇ、晃!あなた何したのよぉっ?!」

「…殺すつもりだったんだ。それの何が悪い?母さんだってあいつがいなくなればっていつも言ってたじゃないか」

「馬鹿っ!!!!あなたなんて事をっ……」

「仕方ないだろっ!?あぁでもしないと藤山グループの後を継げるチャンスがなかったんだっ!何がなんでもえれなと結婚するしか方法がなかったんだよっ!!」

「そんな事しなくてもあなたに後を継がせたわよぉ…どうしてあの時相談してくれなかったのっ?母さんが竜二になんか継がせるわけないじゃない。それにえれなさんと無理に結婚する必要もないのよ?あなたも知ってるでしょ?あの子の母親がした事…あの子は穢れた血よ。正直あなた達の結婚には反対だったのよ?母さん」

「えれなは関係ないっ!僕にはもう彼女しかいないんだ…それを竜二が…あいつは僕の全てを奪ったんだっ!!」

「晃……」

「母さん…僕は何と言われようが絶対にえれなと結婚する。竜二なんかに渡してたまるか…」


えれなを巡る2人の婚約者…一方は真実の愛を知った男…そしてもう一方は彼女を幸せにする事に対し絶対の自信を持つ男。
果たしてどちらの男が彼女に相応しいのか…やはり全ての鍵は7年前に隠されているのかもしれない。


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