世界は彼女の為に回っていたⅡ

学園祭では何かが起こるⅡ /0.5

私は鉄格子から外を見てた。見えるのは、どことも解らない庭の緑と狭い青空だけだった。

何をするでもなく、一日中そこから見える小さな世界を見つめてた。
羨んでいるつもりはなかった。ただ諦めていただけだったのかもしれない。否、虚無だった。


ただもう寝過ぎて、万年床になった布団の上。自分の匂いが染み付いた、ブランケットを手繰り寄せて、解れを指先に遊ばせる。


それが私の日常だった気がする。気がするだけで、そうじゃないかもしれない。それはあまりに遠い過去だ。だからこれが現実だったのかも曖昧だ。

……変。

過去とか夢とか、そう思うのに、目の前に広がる光景は、“それ”だ。
やっぱり過去とか夢とかじゃなくて、現実なんだろうか。

頭を悩ませた頃、視界がぐにゃりと歪んだ。

……あっ、夢だった。

そう気付く頃に、あの鉄格子から見える世界は、猛スピードで私から遠ざかって行った。


意識が眩しい光に吸い寄せられていく。まるで深海から一気に引き上げられていく様だ。
私は目覚める。
その瞬間を解っているのに、毎回のことながら、重くのし掛かる目蓋を開くのに時間が掛かる。


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