世界は彼女の為に回っていたⅡ

学園祭は何かが起こる /動き出したセカイ0.5

教室を飛び出していったナカ。


後片付けで賑わう模擬店のメインストリートは、ナカの叫び声に騒然となっていた。
しかし、それはあくまで、傍観者の側だけである。


車椅子の女性にぶつかった張本人達は、慌てふためき、彼女を起こそうと躍起になっている。

その時、突如眼下に現れたナカは、まるでピンチの時だけ現れるヒーローの様に、車椅子で倒れた女性に駆け寄った。


「あれは、やべー」


隣で呟いたく一輝の声が、引き攣っている。


「何が?」


見上げた横顔は、強張り切羽詰まっている様に見えた。


「あいつが、キレる」


感情を押し殺した様な声と共に歪められた顔。
窓枠に付いた手が、微かに震えている。


あたしには分からない何かがあるのだろう。


唯一掛けれる言葉は、当たり障りのない“心配”を含んだ曖昧な言葉だけ。


「大丈…」


…―――大丈夫?

しかし、その言葉すら全てを、この世界に産み落としてあげることは出来なかった。

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