湿った世界の片隅で【完結】

Act.8 /喧騒が絶えた日

 
あの日、彼と別れたのを境に、あたしの周りには平穏な日々が戻ってきた。

とはいっても、バイトのシフトがまた変更になって、若宮に疑われることがなくなって、玄関に紙切れが投入されることもなくなった。

毎日のように甘ったるいプリンを食べなくてもいい。味気のないサラダを食べなくてもいい。何の変哲もない日常。

マニュアルのような日々を繰り返すだけの日常。

空白の紙切れに翻弄されることもなくなって、回収する手間も省けて、何もかもが元通りだ。穏やかすぎる。



「ちょっと小春さーん。さっきからなにダラけてんすかぁー」


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