~幕末の黄昏~ 【第三部】

第十六章 ~月夜に輝く生命の焔~




俺はあの色ぼけみたいに、
別にあいつに興味があったわけじゃない

強いて言うなら、気になる程度


あいつは俺達の中では滅んだと思われていた
一族の生き残りで、
鬼の中でも非常に貴重な存在

東を治めていた
一族の純血の血をひくあいつは、
本当に貴重な存在だった


あいつもそれを自覚していたし、
本人はそれを誇りに思っていた

あいつが時折見せるその様はまさしく、
気高い姫を呼ぶのに相応しかった


それ程全てを兼ね備えている姫のくせに、
全てを理解しているくせに、
あいつは俺達よりも弱い人間を
当たり前のように選んだ

俺達同胞を、仲間を、あいつは拒んだ


そして、考え方の相違は
刀を交える死闘にまで発展しちまった

その時、あいつは勝つ為に
自分を十数年もの間押さえていた物を
解き放った

その時のあいつの生き生きとした動き

目の輝きも大きく変わり、
纏う雰囲気ですら
神聖な物に変えちまうほどの変わりよう

これまでとは格段に
何もかも全てが違うあいつの全て


俺には、




















月夜に輝く生命の焔




















月夜の光の中でもはっきりと分かるほどに
燃え上がる激しい命の焔のように見えた

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