~幕末の黄昏~ 【第三部】

第十四章 ~桜を纏いし紅の姫君~





俺はまさか、
あんな場所であんなに美しく着飾った君の姿を
目にするとは思っても居なかった


君は俺達に保護された者であり、
俺達に自分の意志で手を貸してくれている
数奇な運命を辿っている女


これが、君に対する俺なりの憐れみだった


新選組の手違いで性別すら偽って
日々を過ごす君に俺が抱いたのは憐れみであり、
それ以上の感情を抱かなかった


時には副長の命により君を尾行した事も、
命を奪おうとした事もあった

それに気付いていながら、
君は何時の間にか心を開いて
俺の事を心から信頼してくれていた


そんな君に課せられた今回の役割で
君は一年半の時を共にした俺に
はじめて女の出で立ちを見せてくれた


その姿が予想を遥かに上回って
美しく、花のように妖艶で、
言葉に表現しがたいほど驚いて
固まった事を俺は覚えている

原田組長や永倉組長から
一応聞かされては居たのだが、
まさかあれ程までとは俺も予想していなかった


その姿はまるで、















桜を纏いし紅の姫君
















桜を咲かす天女の如き出で立ちだった

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