0と1のあいだ【完】

0.9 距離

待ち合わせ場所のコンビニで雑誌を立ち読みしていると、ウインドウの外に待ってた相手がやって来た。



小さく手を振ってから雑誌を棚に戻して、すぐに外に出る。



「おはよ」

「おはよう葉月ちゃん」



春の暖かな日差しの中、のんびりと目的地まで歩き出した。



昨日卒業式を済ませた私たちは、今中学生と高校生の中間。

なんだか変な感じがする。



「もう準備終わったの?」



葉月ちゃんが綺麗に伸ばした長い髪を揺らして聞いた。



「もうバッチリ」

「そっか、寂しくなっちゃうけど頑張ってね」

「うん、ありがと」



京先輩に勧められて進路を決めた私は、頑なに反対するパパをなんとか説得してお許しを貰った。

まぁ説得っていうか、味方になってくれたママの“一生嫌われるわよ”の一言に泣く泣く頷くしかなかっただけだけど。

ママには大感謝してる。



あと数日で寮に入って、また京先輩の後輩になるんだ。



「嬉しそうにしちゃって」

「ごめん」



家族や葉月ちゃんと離れるのは私だって寂しい。

でも、楽しみのほうがどうしても勝ってしまって顔が緩んでしまった。



「京先輩によろしく言っといてね」

「え?うん」



頷いてはみたものの、葉月ちゃんと京先輩って接点あったっけ?

多分話したこともないんじゃないかな。



「私の零をしっかり見ててもらわなきゃ」

「なにそれ」



私は吹き出して笑ってしまった。

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