波涛(はとう)の月

受難に咲く恋の華 /第15話 俺たちは物ではない

アメリカ軍の無尽蔵の補給体制の前に孤立無援の日本軍は各地の前線では敗北を重ねていた。


美しき島は鉄の暴風雨と呼ばれる空からの戦闘機による空爆および機銃掃射・海敵艦隊からの艦砲射撃・地上からは戦車の砲撃、陸海空からの激しい攻撃に島は焦土とかした。


「いま少しで友軍の援軍がくるからそれまで精神力で持ちこたえろ、日本は神州不滅だ」


日本兵はいつくるともわからない援軍にいちるの望みを持つことが地獄の戦線での唯一の精神的支柱となっていた。


本土の軍令部も沖縄を見殺しにしたわけではない。

連日、前途ある優秀な若者が鹿屋や知覧の航空基地から片道燃料と大型爆弾を搭載した特攻機で沖縄にむけて出撃したか、大半が目標に到達する前に撃墜され、有能な若者の大切な命が大空に散っていった。




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