波涛(はとう)の月

幸はそんな過酷な状況であっても陸軍従軍看護婦としての使命を野戦病院でまっとうした。


もう移動を何回くりかえしたのだろうか?


いたずらに増加の一途をたどる傷病兵を治療する医薬品は完全に底をついていた。


幸たちは包帯の交換と下の世話くらいしか彼らにしてあげることはなかった。



幸の紺色の制服も血と泥と汗にまみれて配給されたときの輝きはまったくなかった。

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