波涛(はとう)の月

「ここが私たちの戦場よ。大城さん、看護婦の数は少ないけど、大和魂で報国しましょう」


玉城婦長は幸と急ピッチで構築されている野戦病院の中を見学していた。



「あの子達はまだ若いですね」



幸はまだ幼顔が残る少年兵に視線がいった。



「かれらは地域の学徒兵みたい。まだ若い彼らまで祖国防衛のために頑張っているだから、私たちも負けてはいられないわよ。なんといっても私たちは皇后陛下様から看護婦の証を下賜されたものなのですから」


玉城はバックから体温計を取り出した。



「もちろんです。」

幸も玉城と同感だった。

少年兵のだれもが無心で働いている。もし弟が生きていたら彼らみたく奉仕していたに違いない。



幸は那覇大空襲で亡くなった弟の姿を彼らに重なりあわせていた。

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