WINE RED 【完結】

4. /それぞれの想い



観覧車に乗って1分くらい経ったけど、お互いに一言も喋らなかった。


まだそんなに高くはないけど、確実に地面は離れていく。



どうしたらいいのか分からずにガラス越しに外の景色を見た時、


「いきなり、ごめんね……」

やっと諒さんが喋ってくれた。


外に向けていた目線を諒さんに向ける。
相変わらず諒さんは苦しそうな表情をしていた。



「嫌だったよね、ごめん…」

苦しそうな諒さん。

「どうして、観覧車なんかに…」

でもわたしはそう聞かずにはいられなかった。


わたしの思いも、隼人と二人で観覧車に乗った事も諒さんは知ってる。
それなのにどうしてこんな苦しくなる場所に、大切な場所にわざわざ連れてきたの…。

それも隼人と会った後に…。



「どうして……」

責めるように言ってしまったわたしに諒さんは


「苦しそうだったから」


そう言った。



「……苦しそう、?」

「隼人と会った時、司ちゃんすごく苦しそうだったから」

諒さんは真っ直ぐにわたしを見ながらそう言う。


「今日だけじゃない。隼人と離れてから司ちゃんはずっと辛そうだった」



それを聞いた瞬間、何とも言えない感情が涌き出てきた。


怒り、羞恥、苦しみ、どれにも当てはまる感情。



「苦しそうだと思ったなら尚更っ…どうしてここにっ……」


絞り出すようなわたしの声は狭いゴンドラに響いた。




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