カワイイ子猫のつくり方【完】

波乱の目覚め

(やっと着いたか…)


朝霧は病院の駐輪場へと自転車を止めると、腕時計を確認した。

既に家を出てから45分が経過している。

それでも元々は車で30分掛かる所だ。かなりのハイスピードで到着したと言ってもいいだろう。

車通りの多い道を避け、裏道を選んで飛ばしてきたのが功を奏したのかも知れない。


朝霧は自転車に鍵を掛けると、慣れたように病院のエントランスへと向かった。

何度も足を運んだことがあるので院内はほぼ把握している。

ロビーへと入ると、周囲はそれなりの混雑を見せていた。

土曜日は患者は勿論、見舞い客も多いのが特徴だ。


朝霧は何気なく周囲を見渡しながら考えた。

(親父がここに着いてから既に1時間半近く経つ。裏の通用口の方で見失ったと言っても普通に考えたら、もうこの辺りにはいないと考えるのが無難だよな…)

通用口から、このロビーまでは割とすぐだ。

あいつが目的を持ってここへやって来たのなら、いつまでもこんな場所に留まるようなことはしないだろう。

既に次の行動に移している筈だ。

そこまで考えたところで、朝霧は心の内で小さく笑った。

(既に猫に対しての発想じゃなくなってるな)


だが、既に見つかって外へ出されたという可能性も無くはない。

現在騒ぎにはなっていないようだが、もし目撃情報などがあれば人々の話題に上がることもあるかも知れない。

朝霧は目と耳を働かせながら、ゆっくりと移動を始めた。

0
  • しおりをはさむ
  • 836
  • 76
/ 219ページ
このページを編集する