眠り姫は夜を彷徨う【完】

避けては通れぬ道

眠りたい。

でも、眠りたくない。


寝たい。

でも、寝れない。


気が付けば遠くの空は白み始めていて、やっと朝が訪れたことを知った。

夜は長い。眠ってしまえばあっという間なのに、起きていると何故こんなにも長いのだろう。

紅葉は何をするでもなく、机に突っ伏したまま窓の外へと視線を向けた。

明るくなっては来たものの、日が昇り始めるのはまだもう少し先だ。そして普段起きだす時刻までは、まだまだ二時間半程余裕がある。


(…ねむい…)


頭の中には、もうそれだけしかなかった。

朦朧とする中、それでもうっすらと瞳を開いたまま外を眺めている。


…眠るのが怖かった。

夜な夜な出歩く症状など、ある意味今更ではある。嫌だなぁと思いつつも自分自身には記憶がない為、どの程度の頻度でそれが出ているのかさえ把握出来ていない状況で。その分、あまり深く考えないようにしていた感はある。

だって、目が覚めれば眠った時と同様に自室のベッドにいるのだ。これが、朝目覚めて知らない場所に寝ていた…とかであるなら、危機感は半端ないものだったろうとは思う。でも、そんなことは今まで一度たりともなかった。

だから変に安心していたのかも知れない。外へ出るとは言っても、ご近所をフラフラと散歩して戻ってくる程度なのだと。(いや、それでも十分ヤバイけど。)

でも、今回出歩く範囲が広いことを知った。前に圭ちゃんが駅前で見掛けたと話していた時に、もっと警戒していれば良かったのかも知れない。

(そうすれば、圭ちゃんにあんな風に迷惑掛けずに済んだのに…)

今更そんなことを悔やんでも、後の祭りだけれど。

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