眠り姫は夜を彷徨う【完】

エピローグという名の日常

いつもと変わらない朝。

紅葉は鏡の前で制服のネクタイを締めると、その場でくるりと回って最後の身だしなみチェックをする。


「よしっ」


目の前の鏡に映るのは、二つに揺れる三つ編みと大きめレンズの茶ぶち眼鏡。既に見慣れた学校へ行く時の姿だ。

本当は、この変装のような姿で学校へ通うことをもう止めてしまおうかと少しだけ考えたりした。

肩より長い髪は結わくことが校則で決まっているので良いとしても、流石に眼鏡は伊達なのだし「いくらなんでもやり過ぎなのでは?」…と反対意見を出したのは、生徒会長である立花さんだった。


立花さんとは今まで桐生さんと一緒に居るところを見掛けていたものの、直接話したことはなかった。でも、先日の一件ですっかりお世話になり、今では学校でも会えば挨拶を交わしたり、向こうから声を掛けてくれることも増えた。

学校では生徒会長として、しっかり者の優しい大人の雰囲気を醸し出しているのに、桐生さんと一緒の時の立花さんは年相応の子供っぽさが垣間見えて結構面白い。二人は昔からの付き合いらしく、掛け合いを見ていると学校で見る二人の印象とは全く違って親しみを感じてしまった程だ。


その立花さん自身が私の学校での姿と本来の姿とのギャップが大きかったようで、散々「普通の姿に戻した方がいい」「流石にその恰好はない」と学校での姿を駄目出ししてくるのだけれど…。

圭ちゃんは「紅葉が楽だと思う方で良いと思うよ」と言ってくれているし、何より自分自身がこのスタイルをわりと気に入っているので、結局このまま学校に通っていたりする。

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