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「名前、歳、国籍を言いなさい。」

「…李 亜美、20歳、中国国籍です。」






澄んだ声が聞こえてきて、カルテに向けていた視線をチラッと目の前に座る青年に向けた。


黒のスラックスに白いシャツを着ているスラリとした体型。

長い首の先についている顔は美しい容貌をしている。

質問に反応するたびにサラサラと流れる黒髪は、彼がまだ若い証拠だ。


研究員は不思議でたまらなかった。


まだこんなに若い青年が。
なぜ、永遠の命を手に入れたいと考えるのか。





「…これは面接に関係ないが、質問を1つしてもいいかね。」

「大丈夫です。」


「君は、正気の沙汰でこれに参加しているのかな?」





青年はその無の表情のまま、首を傾げた。研究員の言葉の意味がわからない、そう言いたげだ。

研究員は、思わず唾を飲み込んだ。




目の前に座る麗しい青年。彼のI.Qは普通の人のそれより数値が高い。


…しかし、住所不定で収入源も分からない。

それにプロジェクトの参加権は、中国で行われている違法の賭場「人間闘技場」で優勝して得たらしい。


血が飛び交う荒くれ者だらけの最底辺と言える場所だ。死と隣り合わせの、暴力だけの世界。


そこで、優勝だなんて…。


どんな手を使ってその権利を手にしたのか。想像するだけでも恐ろしいものを感じる。


…正直気味の悪い人物だ。
しかし、将来については有望だと断言できる。


だから…このプロジェクトの参加を、諦めて欲しいと思ってしまったのだ。






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