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ダイニングルームの奥にある大きなベッド。引きずるようにして亜三くんを運び、そのベッドの上へ寝かせた。

彼の体が熱い。表情も険しくかなり苦しそうだ。

私は顔についた血を拭き取り、首回りや痣、患部に濡れたタオルをあてた。

一旦、シロに亜三くんを任せて寝室を出る。
地下室をとりあえず闇雲に歩き回った。
もっと手当できる道具が欲しい。


暫くして、訪れるのは3つ目になる部屋の扉を押し開く。そこは物置部屋だった。

物が散乱していて探すのには困難。だけど、そんなこと言ってられない。

私は大きく息を吐くと、一歩その部屋へ足を踏み入れた。

衣装ダンスが3つ倒れそうになりながらも並んでいて、ベッドのシーツが乱雑に置かれている。よく分からない絵画や壺も床に転がっていた。

…とても、救急箱のようなものがある部屋ではない。

私はこの部屋から出ようと背後を振り返った時。ドアの後ろの死角部分から顔を覗かせるそれに目をとめた。


…電子ピアノだ。

立て掛けられているピアノは、埃をかぶっていて白鍵盤は黄ばんでいた。

私はそのピアノの埃を払い、隈なく状態を確認する。



…コンセントに差し込んでみないと、使えるかどうかわからない。コンセントは確か、ダイニングルームにあったはず…。



幸いにもそのピアノは薄くて軽い。
私はピアノを両手で持ってダイニングルームへと向かった。



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