彼女の体内昼寝時計。[完]





獅季side



「…へえへえ、お盛んな事で」


目の前で抱き締め合っている二人に胸糞が悪くなって踵を返して出口の方に向かう。

感動を共有している中に俺が入ってもアイツに嫌がられるだけだからな。


「兎、」


その場から離れる前に一言だけは言っておこう。


「殴って悪かった」


素直になるチャンスだと言われて来たこの場所で、俺が出来たのはその事について謝罪を述べる事と、あの鍵を執事から預かった事だけだ。





『これは書斎室の鍵でございます、』

『どうか、あの人にお嬢様をよろしくお願い致しますとお伝え下さい』

『そしてどうかお幸せに、と…』






この家の奴等は、全員女の幸せを願っていた。

その行動は裏切りになるだろうが、その方がハッピーエンドになるなら良いんじゃねぇの?

結局、妥協したみたいだからな。



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