熱いカラダ【完】

「ある女の存在」



「お前さ、ミサ先輩と別れたんだろ?」


会社の同僚で、仲が良い、斉藤秋太郎≪サイトウアキタロウ≫こと通称アキがニヤリと口許に笑みを浮かべながら俺に問いかけてきた。


そなアキに対して俺はラーメンを啜りながら、「いつの話だよそれ」と呆れ口調で言葉を返した。


すると、今まで知らなかったのか、目を見開いていきなり席を立ちだしたアキ。


そして、俺の両肩を勢いよく掴んできて、更には揺らしてきた。


「お前!ふざけんな!別れたって知ったの2日前だぞ!?そんなに前に別れてたのなら教えてくれよ!俺ミサ先輩狙うから!」

「(だからお前に教えたくなかったんだよ)」

「つーかさ!お前は狡ぃんだよ!会社の中でもマドンナと噂をされ一際目立ってるうえに、仕事もテキパキと熟す女が彼女だったなんて、さ」


そう言うと同時に、興奮が収まったのか、掴んでいた手を離し、席に腰を下ろしたアキ。



「つーか、なんで別れたの?振られたの?振られたのか?」

「……なんで完全に俺が振られてるしか選択肢がないんだ」

「だってそうだろ。マドンナを自分から振る馬鹿はいない」

「……」

「はぁ?黙るってことはまさかお前!」



――「まぁ、別れは俺から言ったよ」


そう言うと同時に俺は冷たい水を飲み干した。


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