熱いカラダ【完】




「今にも雨が降り出しそうなの」

『……』

「それに、さっきからナンパされ――」

『あ?』

“ナンパされた”と言おうとしたけれど、いきなりミナトが不機嫌な声を出し始めたから、私は焦って口を開いた。

「――たんじゃなくて!……ナンパしそうな男の人達がうろうろしてて。なるべく待ちぼうけくらってる女みたいな雰囲気を出したくない」

『……』

「ね?だから30分でいいから」

『……』

「30分でい――」

『はぁ……』


そして、電話の向こうからは、それはそれは盛大な溜息が聞こえてきた後。


『――30分な。30分』


と、ミナトは仕方がなくって感じだったが、優しい言葉を届けてくれたのだった。


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