漆黒の白雪姫【上】【完】

6 /温もり

「なにぃぃぃ!?
弥生の勇姿だと!?見たかったぁぁぁぁ!!」


あの後、隼人が少し落ち着くと私達は白龍の溜まり場へと向かった

「遅い!!」と桔平と雅樹の馬鹿コンビが駄々を捏ねたが、私の舌打ちでそれは直ぐに終わりを告げた


そして遅くなった経緯を簡単に説明すれば、またも駄々を捏ねる桔平と雅樹

それを呆れた目で見ているのは…


昨日鳳凰を辞めた慶哉



音無の勘に触れたのだから、ただじゃおかないと思う

慶哉を襲うのは明白なので、嫌がる慶哉を強制連行してきた桔平と雅樹だったのだ




『俺らは仲間にするつもりだ
…あんな仲間や兄弟を思う良い奴、白龍にピッタリだろ?

…ま、後は本人次第だけどな』



今朝、桔平がそう言っていた

あの後溜まり場に向かった慶哉は、サツキ達に泣きつかれたそうだ

本気でサツキ達を心配していた慶哉を見て、白龍メンバーも慶哉を認めてきている



すると他のメンバーも何故か騒ぎ出して、それを冷静に抑える慶哉や隼人を見てクスッと笑みを零すと



「…隼人、また?」


私を挟む様に桔平と雅樹
悲しそうにそう私に聞いていた雅樹に私は苦笑した


「…過去やトラウマなんて、そう簡単には消えやしねぇんだ

だけどすぐに落ち着いた
あいつも少しずつ前に進んでる


お前らのお陰だ


だけど…



お前らも無理し過ぎは疲れるぞ」


私のその言葉に2人の瞳は揺れる





幼い頃に両親を失い、天才…優秀な兄を持って比べられ、肩身の狭い生き方をしてきた2人


2人も優秀だが、それは血の滲むような努力があったから





兄達に恥をかかすまいと、必死に学び鍛え、心配かけない様にと笑い明るく振る舞い続けてきた、同じ境遇を生きて来たこの2人はどれだけ辛かったか…無理をして来たか…



賑やかなこの場からそっと…


泣きそうな2人の手を引き、私は一つの部屋に入った




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