漆黒の白雪姫【上】【完】

…気分悪りぃなぁ
シャワーでも浴びるか

そう思い、着替えを持ち部屋を出た時だった


ふわりと青光りするサラサラな黒髪が揺れ
ムスクの香りの逞しい腕に包まれた


「弥生、おはようございます」

「うをっ!?煌河!?
びびったぁっ!…はよ」


ぎゅぅぅっと私を抱き締めてきたこの男

一条煌河ーイチジョウ コウガー

私の仕事の相棒だ

煌河は俗に言うイケメン
なんつーか…美男子だ


青光りする綺麗なサラサラな黒髪にノンフレームの眼鏡
私と真逆の丁寧な話し方

まるで…



「…紳士だよな。つうか執事?
うん。似合うかもしんねぇな」

「…何をゴチャゴチャ言っているんです?
シャワーを浴びるのでしょう?

その間に朝食の支度をしておきますから」

「お!悪いな!
目玉焼き!半熟でな!」

「はいはい。承知いたしました姫様」

「姫はヤメロ。気色悪りぃ」

「私にとって弥生は永遠に姫ですよ」

…爽やかな笑顔でさらりとんな事言うな


「…はぁ。じゃ行ってくる」

「はい。ごゆっくり」


煌河に見送られ、シャワーを浴びる為浴室に入った


私達は数週間前からこの街にやって来た


私はあそこにいたくなかったから



あの学校もアイツの息がかかるあの場所も息苦しいだけ


逃げた私に着いてきてくれたのは煌河





「…優しすぎんだよ…馬鹿煌河」


小さく呟き熱いシャワーを頭から被った



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