漆黒の白雪姫【上】【完】

「…行くぞ」

煌河は踵を返し、音無に背を向けた

…あー怒ってる
これはかなり…いやかなりキレてます
今から一条に乗り込んでしまいそうな勢いの相方を見て、私は思わず強張っていた頬が緩む


「こーが君や?」

「…あ?…っっ」



私は煌河の腕を掴み、振り返った煌河を抱き締めた


「…私はもう大丈夫だ

だから落ち着け…な?
…まだ、だ。時が来たらその時は…


存分に暴れてくれ」



煌河にそう言うと、だらんとしていた腕をゆっくり私の背に回した


「…本当に貴女という人は

知らなかった私も私ですが…何故言ってくれなかったのです?」

「…言ったら間違いなくお前は皇夜とあの女を殺りに行くだろうが

んな事してみろ。お前が死んじまう」

「…別に弥生の為ならば」

「私が良くねーし」

「…申し訳ございません」



…取り敢えず落ち着いたか

煌河を抱き締めたまま、周りを見渡せば先程の煌河の苛立ちの殺気にやられた奴らが顔面蒼白のまま、震えて突っ立っていたが、幹部達はホッとしていた



煌河がキレたのを何度か見たことある奴らは、すがる様に私を見てたからな…



…まぁ、これは言わなかった私にも非があるし



「…おい。いつまでくっついてやがる。
さっさと離れろ」


そう低い声で唸り私と煌河を引き離した桐斗


私は苦笑いし、煌河は呆れた様に


「桐斗さん、大人げないです」

「うるせぇ黙れ。何が悲しくて好きな女が俺以外の男を抱き締めてんのを見なくちゃなんねぇんだよ」

「…あなたは本当に桐斗さんですか?」

「…失礼な餓鬼だなオイ。
一回海にでも沈めてやろうか?あ?」



…うん。完全に戻ってる


桐斗と煌河の意味不明な言い争いに、安堵の表情を見せた仲間達は次第に笑顔へと変わる


この中には、私の過去を知らない奴らもいた
他にも知っていても詳しく知らなかったり、一部だけ知っている奴らもいた


別に隠す様な事でも無かったし、同情されたくて話したわけじゃ無い

ここに居る奴らの過去も、私は全員知っている
だったら自分の話もしないとフェアじゃねぇ

そう思ったから話しただけ



こんな話を聞いても、こいつらは私を受け入れ慕ってくれている


…暖かい奴らだよ。本当大好きだ



目を細めメンツ達を見回し、私に笑顔を向けてくれる奴らに微笑む


そして




最後に今だ地にケツを着けたまま、下を向くあいつ…音無を見た



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