漆黒の白雪姫【上】【完】

3 /近寄るな

弥生side

「やっ…こう、がっ…あっ」

「…はぁっ、はぁっ…くっ…」

暗い部屋に響くのは、ベットの軋む音、私と煌河の荒い息遣いと肌の擦れる音

あの後、喧嘩を見つけた私達は

…唯々喧嘩をしていた


家に帰ると互いの傷を舐め合う様に、そして存在を確かめ合う様に身体を重ねていた



それだけ禁句なんだ



ああいう何も分かってない奴に、人の事を“道具”呼ばわりさせる事が

例えそれが、私らに向けて言われた言葉でなくても
私らはイライラする


普段は冷静な煌河でさえも




私も煌河もずっとそうだった

家族には自分達の利益の為にと、スパルタの英才教育を施され、失敗は決して許されない

自分の気持ちも感情も、押し殺し唯々…

大人達のいい様に使われる道具と育てられた私と煌河


だから私らは、誰よりもお互いの事を理解しているし、大切な存在だ



ただの傷の舐め合い
そう思うなら思えばいい


どちらかが傷ついた時はいつも必ず


…絶対に隣にいたんだから






「やっ…もっ…だめぇっ」

「…弥生っ…一緒に…」

私の手を大きな手で握った煌河
早まった律動と暖かさに、私は意識を飛ばした


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